消化器内科

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慢性肝疾患の現状と対策

1) C型肝炎とは

C型肝炎ウイルスの持続感染により引き起こされる肝臓の病気です。急性肝炎と慢性肝炎があり,一般的に何ら症状を持たないことが多いと言われています。急性肝炎後に回復した後,高率に持続感染し無症状で潜在化すると言われています。

2) C型肝炎の診断は

血液中のHCV抗体の有無を検査します。同時にB型肝炎の有無を見るため,HBs抗原を検査することが望ましいです。日本の慢性肝疾患患者の大部分が,B型あるいはC型肝炎ウイルスの持続感染者なので,これら肝炎ウイルス検査は原則として反復受診する必要はありませんが,一度は確認されることをお勧めします。

3) C型肝炎患者数

日本国内にC型肝炎ウイルスの持続感染者が100万人から200万人存在すると推定されています。C型肝炎ウイルスに感染した人の半数以上が持続感染者となり,約7割はC型肝炎と判明した時点で慢性肝炎と言われています。C型肝炎ウイルスには遺伝子型があり,日本ではgenotype1bが70%,genotype2aが20%,genotype2bが10%で分布していることが知られています。

4) C型肝炎は肝疾患のhigh risk

一般的には無症状のまま10~40年位の経過で,肝硬変,肝癌へと進展していくと考えられています。飲酒・喫煙などは癌化を促進する因子と言われており,飲酒・喫煙を続けている人では早期に進展することがあります。飲酒・喫煙をしない人でも高齢者や女性で肝癌患者の増加が顕著になっています。また肝障害のまだ軽い人でも特に70歳以上では肝癌が発見される例も少なくないので,肝硬変になっていなくても定期的な画像診断による肝癌検診が重要です。

5) C型肝炎と肝癌

日本国内の肝癌死亡者は年々増加し,年間肝癌死亡者数は3万人を越えています。日本国内の肝癌患者の背景は,B型肝炎15%,C型肝炎70~75%,B+C型両者陽性例3%とされ,C型肝炎と肝癌は密接な関係が認められています。広島県は全国的にも肝癌患者が多く,県立広島病院でも最近は高齢のC型慢性肝疾患患者からの肝癌発見例が増加しています。

6) C型肝炎の治療

抗ウイルス治療としてインターフェロンと肝庇護治療があります。従来の標準治療は,ペグインターフェロン with/withoutリバビリン治療で,ウイルス排除率はgenotype1b・高ウイルス量の場合には50%弱,その他の場合には85%でした。最近では,ウイルスの増殖を直接抑制する薬剤(DAA:Direct-Acting-Antivirals)の開発・認可により,genotype1b例およびgenotype2a・2b例ともに現在ではインターフェロンを使用しない内服治療を主に行っており(治療期間3か月),副作用には注意が必要ですが,従来より格段に少なくなり,外来で容易に継続可能となっています。DAA治療では,ウイルス排除率が100%に近くなると期待されています。また,インターフェロンにはウイルス排除できなくてもGPTを確実に低下させる作用があり,結果として肝発癌を抑制することが期待されています。2週間ごとの半量のペグインターフェロンでは高齢者でも安全に使用可能となっています。肝庇護治療ではウイルス排除の期待はできないが,ほとんど副作用なくGPTを軽度低下させることが期待されています。

7) 万一肝癌になった時の対応

治療法としては,切除,腫瘍局所壊死治療(ラジオ波熱凝固),経カテーテル的肝動注治療の3本柱があり,それぞれ単独あるいは最も効果的な組み合わせで治療することが望ましい。県立広島病院では,これらすべてに対応可能で,特にラジオ波熱凝固では,下図のごとく手術をせず腫瘍を十分含んだ治療が可能となっている。更には定位放射線治療も考慮することがあります。

8) 最近の肝癌の傾向

70歳以降の高齢者に多い傾向があり,特に女性では大半が70歳以降となっています。慢性肝炎-肝硬変-肝癌の流れが一般的とされていますが,高齢者においては慢性肝炎段階での発癌例が散見され,注意が必要です。また非B非C例が明らかに増加しています。

9) 肝炎・肝癌相談窓口

初診は,消化器内科(9)診察室が毎日対応している。初診当日に必要な採血をしていただき,その結果は火・木曜日午前中に北本医師の予約診療で説明することになっています。肝癌の相談は火・木曜日午前中の北本医師が対応します。

 
9診察室 担当医師 北本医師 担当医師 北本医師 担当医師

県立広島病院消化器内科 北本幹也

【資格】
日本消化器病学会評議員・専門医・指導医
日本肝臓学会評議員・専門医・指導医
日本肝癌研究会幹事
日本内科学会中国支部評議員・専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会指導医,専門医・指導医
広島大学臨床教授
【得意技】
肝癌の経カテーテル的治療
肝癌の経皮的局所壊死治療
食道静脈瘤の内視鏡治療
胃静脈瘤のIVR治療
ウイルス肝炎の抗ウイルス治療

広島大学第一内科の肝臓研究室において12年間中心的に活躍した後,2001年4月に県立広島病院に赴任しました。以来,肝疾患に対する最新の考え方を実践し,肝専門医として十分機能できるようになっています。B型肝炎例においては,核酸アナログ剤を使用することで肝予備能を温存・回復することができ,従来は救命できなかった重症化例においても長期生存が得られています。C型肝炎に対する治療法の進歩は目覚ましく,ウイルスの増殖を直接抑制する薬剤(DAA:Direct-Acting-Antivirals)が開発・認可され,副作用が少なくなり,ウイルス排除率は100%に近づくことが期待されています。当院では,肝炎-肝硬変-肝癌への流れを予測し,画像による肝癌スクリーニングを行いながら様々なタイミングで上記抗ウイルス治療に移行するために,年2~4回の当院受診を提案し,実現しています。実際,その画像反復により,肝関連腫瘍マーカーの上昇のない段階における肝腫瘍の拾い上げが実現できています(J Gastroenterol 2010;45:105-112,広島医学2010;63:156-161)。肝癌の診療は広島大学時代から専門的に取り組んでおり,ラジオ波熱凝固を当院に採用することで一層パワーアップしています。初回発見された肝癌例においては,外科手術35%,ラジオ波熱凝固27%,合計62%に根治的治療が適応されています。その5年生存率は70%を越えています。またラジオ波熱凝固では合併症が危惧される大血管近接例の場合には,経カテーテル的肝動注治療後に定位放射線治療を施行することも採用しており,安全確実に治療できています。また,それらの治療ができない症例においては,経カテーテル的肝動注治療を効果的に施行することで本人のダメージを最低限にとどめて安全に反復しています。上記のごとく,肝癌治療において内科・外科・放射線科の垣根を取り外し,適切な治療法を提示した上で,同意の得られた治療を実践していることが当院の特徴となっています。

原則,火・木曜日を外来日としていますが,月・水・金曜日も対応しています。対象疾患は,急性肝炎,B型あるいはC型慢性肝疾患,肝癌,脂肪肝(メタボリック関連疾患は増加しています),自己免疫性肝疾患,肝障害(意外と薬物性が多い)などがほとんどです。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の存在は本邦においても明らかに認められ,今後の増加が指摘されており,糖尿病 and/or 脂肪肝患者さんに対応しております。2011年末には,体脂肪,筋肉量などを測定可能な機器InBodyを外来に設置し,患者個々のデータに基づく減量計画を提案できるようになっています。

肝疾患の特性から定期的な経過観察が必要なことが多いため,来院された患者さんには,今すべきこと,将来的に必要なこと,緊急時対応などを初診時から数回の受診でお話することにしているので,再来を反復している患者さんが多いです。同時にその旨を書いた紹介状をかかりつけ医にお送りし,病診連携を推奨しています。ほとんどが予約受診で待ち時間は30分以内となっており,満足度の高い診療を提供しています。また緊急診療も要請があれば対応しています。北本医師自らが診療することがほとんどなので,信頼につながっています。

外来診療時間

午前8時30分~午後5時15分

※初診の方はかかりつけ医の
 紹介状を持参してください。
※予約の無い方の受付時間
 午前8時30分~午前11時
休診日
土曜,日曜,祝日,年末年始
(12月29日から1月3日)
面会時間
11時~13時まで(平日)
15時~20時まで(平日)
11時~20時まで(土・日・祝日)

〒734-8530
広島市南区宇品神田一丁目5番54号
TEL(082)254ー1818(代表)

①③⑤番

「県病院前」下車徒歩3分

広電バス 12号

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広島バス 31号

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