胃がん

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外科治療

がんの存在部位により,胃切除の範囲ならびにリンパ節郭清範囲が変わります。

胃がんの定型的手術は,下記に示す胃全摘術あるいは幽門側胃切除術です。

進行度により,リンパ節郭清範囲を決定します。

胃全摘術

資料:胃癌治療ガイドライン2014

郭清度

D0:D1 に満たない郭清

D1:No. 1~7

D1+:D1+No. 8a, 9, 11p

D2:D1+No. 8a, 9, 10, 11p, 11d12a

幽門側胃切除術

資料:胃癌治療ガイドライン2014

郭清度

D0:D1 に満たない郭清

D1:No. 1, 3, 4sb, 4d, 5, 6, 7

D1+:D1+No. 8a, 9

D2:D1+No. 8a, 9, 11p12a

早期胃癌症例に対しては,機能温存を目指した幽門保存胃切除術や噴門側胃切除術が行われたり,手術侵襲を軽減する目的に腹腔鏡下手術が行われたりします。

当院では2005年から腹腔鏡を用いた胃癌手術を導入し,現在は約半数の症例に腹腔鏡下手術を行っております。

噴門側胃切除術

幽門保存胃切除術

資料:胃癌治療ガイドライン2014

開腹手術

腹腔鏡下手術

当院での胃癌手術件数(2003-2015)

当院の外科治療成績

がんの治療成績を示す指標として,5年生存率がよく使用されます。

5年生存率とは,がんと診断されてから5年間生きている人の割合のことで,おおよそ治癒の目安と考えられています。

当院における2003年から2015年までの手術施行症例911例の検討では,5年DSS(Disease Specific Survival)はStageIA:99.5%,StageIB:93.9%,StageIIA:90.1%,StageIIB:81.4%,StageIIIA:75.1%,StageIIIB:37.4%,StageIIIC:42.9%,StageIV:23.4%でした(胃癌取扱い規約第14版,UICC7thによるStage分類)。

年代やStage分類が異なるためそのまま比較することはできませんが,2001年の胃癌治療ガイドラインに示されたデータ(胃癌取扱規約第13版によるStage分類)と比べ,遜色のない結果でした。

2003年1月から2015年12月まで当院で手術施行した胃がん症例911例を解析

資料:胃癌取扱規約第14版,UICC 7th

資料:胃癌治療ガイドライン2001,
胃癌取扱規約第13版

当院における胃がん治療の特徴と取り組み

当院の特徴としては,内視鏡治療施行可能な内視鏡内科医,日本内視鏡外科学会技術認定医による腹腔鏡手術・開腹手術施行を行う内視鏡外科医,消化器外科医,化学療法を専門に行う臨床腫瘍科の腫瘍専門医,診断時から心と身体のケアを行う緩和ケア専門医を備える,県内でも数少ない病院です。

がんの診断から治療,心と身体のケアまで一貫して行うことができることも当院の特徴です。その中で内視鏡内科医,管理栄養士などのチームによる取り組みについて述べます。

I)内視鏡内科との連携

検診などで発見される確率が増えた早期胃癌や胃粘膜下腫瘍に対しては,機能を温存し,術後QOLを重視した治療が必要である。特に以下の3項目に関しては内視鏡内科医と外科医が長所を生かし短所を補填しあうことで成り立つ治療です。

①早期胃癌に対する内視鏡的粘膜抜去術(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD)後の追加胃切除について

早期胃癌に対してはM癌(深達度が粘膜にとどまるもの)の多くはESDの適応となりますが,切除標本の永久病理結果でly+(リンパ管浸潤を認める),v+(静脈浸潤を認める),HM1(水平断端に癌浸潤を認める),VM1(垂直断端に癌浸潤を認める),pSM2の場合は追加胃切除術の適応となります。内科医がESDを積極的に行い外科医が腹腔鏡下で追加切除を補填する役割を担っています。

②早期胃癌に対する病変部位のマーキングについて

ESDの適応外の早期胃癌に対しての腹腔鏡下胃切除術を行う場合は,術前あらかじめ病変近傍に点墨とクリッピングを行い術中に視覚と透視装置で確認します。胃体部に存在し胃の中央のみを切除する幽門保存胃切除術の場合は特に口側と肛門側の切離ラインを病変部位から2cm以上のsurgical margin確保するためにマーキングが重要であり,これを指標に切除するため,内視鏡内科医による正確なマーキングが確実な機能温存手術に直結しています。

③GISTに対する内視鏡・腹腔鏡合同手術(Laparoscopic and Endoscopic Cooperative Surgery:LECS)について

胃粘膜下腫瘍,特に消化管間葉系腫瘍(Gastro Intestinal Stromal Tumor:GIST)には管腔内に発育する場合(管腔内発育型)が多く,腹腔鏡のみでは病変が十分かつ最小限に切除することが不可能です。そこで内視鏡内科医の協力により,ESDの手技を術中に組み合わせることで,確実にそして安全に病変部位を切除,縫合することができます。内視鏡内科医と内視鏡外科医が手術中に役割を分担し安全かつ確実な胃局所切除術が可能となりました。

II)管理栄養士との連携

胃のはたらきで述べたように,胃は食物の撹拌,胃酸による消化,貯留能,逆流防止などの機能を有する臓器であり,胃がんに対する胃切除術後障害には多くの要素があり,患者QOLを向上させるためには術式と個々の愁訴に合わせた個別化評価と指導が重要です。

当院では胃癌術後評価を考えるワーキンググループが作成したQOL評価アプリ(ペガサスアプリ)を電子カルテ上に反映し,医師と管理栄養士が胃切除術後患者を評価しその病態に応じて個別化指導しています。2014年4月から始め,すでに200名以上の胃切除術後患者に対して行っています。その方法は,患者さんが自己記入式QOL調査票PGSAS-37の37問の項目に対して,(たとえば食後にもたれ感があったかどうか:全然困らなかった…がまんできないくらい困った:7段階評価)手書きで回答し,外科担当のメディカルクラークが電子カルテ上の(PGSAS-37:ペガサスアプリ)エクセルソフトに入力します。

ペガサスアプリでは症状23項目は7つの下位尺度(下痢,便秘,ダンピング,食道逆流,腹痛,食事関連愁訴,消化不良)に集約され,レーダーグラフで可視化され,全国集計の術式別の過去のデータの平均値が取り込まれて比較でき,愁訴が平均を上回る場合はその対処方法が自動的に回答される仕組みになっています。ペガサスアプリの結果はすぐに電子カルテ上で閲覧,プリントアウトでき,その結果をもとに栄養指導を管理栄養士により行い,医師により病態説明と生活指導を行う,チームによる対応を構築しました。

患者さんに栄養指導の理解度,視覚的効果,満足度などのアンケートを行い,指導効果について意識調査を行った結果,栄養指導に対する理解度,可視化効果による高い満足度(10点満点中9.2~10点)を得ています。

電子カルテ上に搭載したアプリを用いることで,病院内のチームで対応するシステムは,患者さんに一律に説明していた栄養指導を個々の患者さんの愁訴を細かく分析して対処することで,わかりやすくきめ細やかな患者主体のケアであると思います。

III)臨床腫瘍科との連携

化学療法の詳細は,当院の臨床腫瘍科の項で説明させて頂きますが,未だ治療効果が十分とは言えないStageIII,IV胃癌症例に対しては臨床腫瘍科と連携し集学的治療を導入しております。予後が悪いと思われるStageIII胃癌に対し術前化学療法を行った後に根治手術を行ったり,StageIV胃癌に対し化学療法を行い切除可能となった際にはConversion Surgeryを行ったり,様々な取り組みを行っております。

外来診療時間

午前8時30分~午後5時15分

※初診の方はかかりつけ医の
 紹介状を持参してください。
※予約の無い方の受付時間
 午前8時30分~午前11時
休診日
土曜,日曜,祝日,年末年始
(12月29日から1月3日)
面会時間
11時~13時まで(平日)
15時~20時まで(平日)
11時~20時まで(土・日・祝日)

〒734-8530
広島市南区宇品神田一丁目5番54号
TEL(082)254ー1818(代表)

①③⑤番

「県病院前」下車徒歩3分

広電バス 12号

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広島バス 31号

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