教えてドクター

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肝がんの診断と治療

「がんは万が一ではなく,二分の一」は,がんができるまで長生きできるようになった証拠です。当院の肝がん患者の集計では,同時あるいは異時性に肝がんと別のがんを重複した患者は,10%を超えており,3つのがんを重複した患者も稀ではなくなっています。このことはそれぞれのがんの治療が向上したことと,その受診時に別のがんが早期に見つかりやすくなっていることも関係しているのではないかと考えています。実際,肝画像診断の進歩により,早期発見例が増加しており,根治的治療が行われています。

肝がんの切除,ラジオ波治療(RFA),定位放射線治療は,その治療で完結する期待があり,最適な方法を提案いたします。肝がんの治療のポイントは,腫瘍進行度と肝予備能の両方を考慮する必要のあることです。肝機能を温存し,次の治療に備える必要があり,RFAはその点で有用と考えています。定位放射線治療は,大血管近接例などRFAが危険な症例で有用と考えています。根治的治療が難しい場合,肝動脈塞栓術が適応となり,基本的には反復していくことが圧倒的です。また肝がんに適応症を認められた全身薬物療法が,免疫療法と分子標的薬を併せて6種類あります。根治的治療や肝動脈塞栓術が適応されない進行状態では,副作用に注意しながら,それら薬物療法で治療していきます。

肝切除

肝切除

ラジオ波治療(RFA)

ラジオ波治療(RFA)

肝動注化学療法(分子標的薬)

肝動注化学療法
(分子標的薬)

以前は,肝がん例は圧倒的にB型肝炎やC型肝炎例で占められておりましたが,最近は非B非C症例が増えており,お酒を沢山飲む方,糖尿病やBMIが高値の方などの危険因子についても増えています。

高齢になるとそのような肝がん危険因子の乏しい患者でも,肝発がんになる例も散見されているので,1年に1回でもいいので,かかりつけで肝画像診断(超音波検査,CT/MRI検査)を受けましょう。

医療従事者の方へ

内視鏡の発達で,胃がんや大腸がんをCEAで検診する考えはなくなっているように,肝がんにおいても肝画像診断の進歩により,従来から診断意義を指摘されているAFPやPIVKA-IIの陰性段階での発見が増えています。AFPやPIVKA-II陽性をきっかけに診断される症例より,両者陰性での発見例は明らかに早期発見となり,根治的治療が施行できています。

以前は,肝がん例は圧倒的にB型肝炎やC型肝炎例で占められておりましたが,最近は非B非C症例が増えており,アルコール多飲者,糖尿病例,BMI高値例などを含んでいます。しかし,非B非C症例における肝発がんriskの判定基準は確立されておらず,その判定に迷って行わないよりも1年に1回でもいいので,肝画像診断を行うことが望ましいと考えています。脂肪肝例もその対象と考えられるので,軽症と思われても是非,消化器内科に紹介をお願いいたします。当方でその後の受診頻度を決めるので,肝発がんに関しては当院が責任を負うことになります。

肝がんの治療のポイントは,腫瘍stageと肝予備能の両方を考慮する必要のあることです。切除,ラジオ波治療(RFA),定位放射線治療が,根治的治療の役割を果たしています。肝機能を温存し,次の治療に備えたいとの考えがありoversurgeryは避けたいので,RFAはその点で有用と考えています。定位放射線治療は,大血管近接例などRFAがriskyな症例で有用と考えています。根治的治療が難しい場合,肝動脈塞栓術(TACE)が適応となり,基本的には反復していくことが圧倒的です。従来は,根治治療期,腫瘍制御期,終末期という経過を取ることが圧倒的に多かったですが,2018年には,肝がんに適応症を認められた分子標的薬が3種そろったので,根治的治療やTACEが適応されない進行状態では,一度は分子標的薬で治療してみたいと考えています。分子標的薬はChildA限定とされており,TACE反復で肝予備能の低下しないうちに,分子標的薬に移行することを考慮しています。しかし予期せぬ副作用に遭遇することもあり,最近の新薬では内科学会の認定医の登録に使えるほど多彩な副作用が報告されています。

上記のごとく,肝がんの診断・治療は明らかに向上しており,当院ですべての診療が提供可能となっています。当院は従来から内科・外科の連携は良好でしたが,2018年から消化器センターが発足し,2019年5月からは,内科・外科の病棟が共通化することになり,術前術後の連携が綿密になっています。

《広報誌「もみじ123号(2019.5)」に掲載した内容を再編集しました(2023.1)》

外来診療時間

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※初診の方はかかりつけ医の
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(予約のある方の後での診療に
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休診日
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(12月29日から1月3日)
面会時間
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