教えてドクター

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血尿はカラダの赤信号

泌尿器科主任部長 梶原 充

泌尿器科主任部長
梶原 充

日本泌尿器科学会指導医・専門医
日本泌尿器内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
日本小児泌尿器科学会認定医
日本夜尿症学会理事
日本間質性膀胱炎研究会評議員
広島大学医学部客員教授
日本排尿機能学会認定医
厚生労働省臨床研修指導医
難病指定医
医学博士

専門

泌尿器科・排尿障害・女性泌尿器科

血尿について

健康診断や人間ドック,病院での尿検査で「尿潜血陽性です」とか「おしっこに血が混じっています」と言われたことはありませんか? また,オシッコをしていて「あれ??赤い!!!」と思った方はいませんか?

‟血尿はカラダの赤信号”です。背後に泌尿器系の病気が隠れていることがありますので注意が必要です!!

血尿の定義

血尿には次の3種類があります。

尿潜血 通常中間尿として採取された尿に尿試験紙をつけて,その色の変化で有無や程度を判定して診断します。
血尿検査用の尿試験紙
顕微鏡的血尿 顕微鏡下での観察で尿中に赤血球を認めることです。
世界的には,顕微鏡で400倍にした1つの視野に5個以上(≧5/HPF)の赤血球がある場合を顕微鏡的血尿と定義しており,年齢,性の区別はありません。
肉眼的血尿 文字通り肉眼で見て赤い尿のことです。
尿1,000cc中に血液が1cc以上混じれば,肉眼でも血尿,すなわち‟赤い!!!”と分かると言われています。

血尿の頻度

尿潜血や顕微鏡的血尿を指摘されることは珍しいことではありません。小中学生の健診での尿潜血陽性率は1.0%~3.1%で,その後,加齢により男女とも陽性率は上昇していきます。(下表参照)

尿潜血反応は一過性のことも多く,実際,経過観察では尿潜血陽性の約45%はその後の検査で異常が消失すると言われています。しかし,約40%では持続し,約10%は進行して蛋白尿が出現し,一部は腎不全に至る可能性があると言われています。一方で,肉眼的血尿の頻度はまれですが,非常に重要な病気のサインと考えられており,たとえば膀胱がんの80%以上は肉眼的血尿を契機として発見されます。

尿潜血陽性例の頻度

血尿の原因

血尿の原因は様々ですが肉眼的血尿の場合,25歳以下の若年者を除くと大部分に泌尿器系の病気が背後に存在し,肉眼的血尿の程度が強い程その可能性は高くなります。そのため成人の肉眼的血尿では,まず泌尿器科での精査が必要となります。

肉眼的血尿の原因

  • ①尿路上皮がん(膀胱がん,腎盂尿管がん), 膀胱がんでは80%以上に,腎盂尿管がんでも初期症状として約60%に肉眼的血尿を認めます。特に喫煙者はリスクが高く,電子タバコも例外ではありません。
  • ②腎がん
  • ③前立腺肥大症
  • ④腎動静脈奇形
  • ⑤腎梗塞
  • ⑥糸球体疾患
  • ⑦尿路結石症
  • ⑧出血性膀胱炎
  • ⑨特発性腎出血
  • ⑩薬剤性/抗がん(シクロフォスファミド,イホスファミド),免疫抑制薬,抗アレルギー薬,漢方(小柴胡湯)など

ここに注意!

バイアスピリンやワーファリンなどの抗凝固薬服用中の血尿の頻度は,非内服例と変わりません。抗凝固薬服用中の肉眼的血尿の4人にひとりにがんが診断されたとの報告もあります。抗凝固薬内服中の肉眼的血尿でも,通常の精査が必要です。

《血尿診断ガイドライン2013 など抜粋》

検査時の注意点

採尿前に運動をすると,誤って血尿やヘモグロビン尿(試験紙潜血反応を陽性にする)となることがあります。採尿前は激しい運動は避けましょう。また,外尿道口周囲の付着物や汗,体液が検尿コップに尿と一緒に混入してしまうことで誤って尿潜血や尿タンパクを指摘されることがあります(偽陽性と言います)。検尿にはそれらを含まない中間尿が適切とされています。さらに,採尿時には外尿道口を男性では包皮を反転させて清拭して,女性では温水洗浄器トイレ(ビデ)で清拭をして,中間尿を採取することが大切です。

病院での検査

泌尿器科では,尿検査のほかに超音波検査(エコー)を行います。超音波は,痛みもなく簡単にがんや尿路結石の有無などさまざまな情報が得られる有用な検査です。なんらかの疾患が疑われた場合,さらにCT やMRI,採血,膀胱鏡などの検査を行います。特に肉眼的血尿は重要な病気のサインで,喫煙者の場合では膀胱がんなどの疑いがあります。尿のなかに癌細胞が混じってないか尿細胞診という検査を行います。膀胱鏡検査も必須ですが,近年では細くてやわらかいカメラ(細径軟性膀胱鏡)を用いて観察する施設が多く,痛みは少ないです。

膀胱鏡検査イメージ

細径軟性膀胱鏡

血尿といわれたら?

いずれの病気にしても,早くみつかれば,それだけカラダに負担の少ない,根治的な治療が可能となります。また,泌尿器科での検査,治療後も長期のフォローが必要です。当院ではかかりつけ医の先生とお互いに連携しながら,包括的に切れ目なく患者さんやご家族を支え続けるように心掛けています。‟血尿はカラダの赤信号”です。症状がないからと放っておかず,早めに泌尿器科専門医を受診することをお薦めします。

参考文献

  • ○血尿診断ガイドライン2013/血尿診断ガイドライン編集委員会. 東京,ライフサイエンス出版株式会社, 2013.
  • ○梶原充・他/特集 薬剤投与と泌尿器科的副作用-泌尿器科医の必須知識-肉眼的血尿をきたす薬剤. 臨床泌尿器科.66,2012.

《広報誌「もみじ129号(2019.11)」に掲載した内容を再編集しました(2021.9)》

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