放射線治療科

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脳転移の放射線治療について

はじめに

脳はがんが転移を生じやすい臓器の一つで,肺がんをはじめいろいろながんが脳に転移をすることがあります。脳転移による症状は病変の部位により異なります。運動障害,知覚障害,認知障害,言語障害,視力障害などの種々の神経症状や頭の中の圧力が高まることによる頭痛や吐き気などの症状が出る可能性があります。治療方法として,抗がん剤治療の効果は脳転移に対しては少ないことが多く,一部の手術の対象になる患者さんを除いて,放射線治療が脳転移の治療の中心となります。放射線治療の方法として,脳全体に放射線治療を行う全脳照射と病変に限局した治療を行う脳定位照射があります。

当院で放射線治療を行った脳転移の患者さんの数は,2015年42人,2016年41人,2017年43人でした。

全脳照射について

(1)目的と対象

脳転移は多発することが多いため,脳内に存在する病変をすべて縮小させることと新しい病変が脳内に出現することを予防することが治療の目的です。複数個の脳転移がある場合が全脳照射の対象になります。全脳照射のみで治療する場合と脳定位照射と併用する場合があります。

(2)治療方法

プラスチック製の網でできたマスク(シェルと言います)を被った状態で,頭部へ放射線を照射します。1回5分程度の治療です。治療回数は10~15回です。

(3)効果と副作用

放射線治療により腫瘍は縮小し,それに伴い症状は軽快します。症状の軽快する程度については病変の部位や症状の程度により異なります。主な副作用は脱毛です。多くの場合一時的にはほとんどの髪が抜けてしまします。治療終了数ヶ月以降,また生えてきますが,どの程度発毛するかは年齢などにより異なります。その他,治療中に食欲低下や倦怠や頭重感が生じることがあります。中耳が放射線治療の範囲に入るために時に治療終了頃に中耳炎を生じることがあります。脳は放射線に比較的強いため,放射線の長期的な影響は大きくはないですが,全脳照射後数年以降に記憶力や計算能力の低下や認知機能の低下が主じることがあります。

(4)治療例

治療前(脳内に多数の腫瘍)

治療後2ヶ月(腫瘍はほとんど消失)

脳定位照射について

(1)対象

当院の放射線治療装置(リニアック)に付属した脳定位照射システムを用いて行います。脳転移の数が少なく(通常数個以内),転移の大きさが3cm以下の場合が対象になります。脳の中のどの部位にあっても治療は可能です。

(2)治療方法

病変に対して多数の方向から小さな照射範囲で放射線を正確に集中させる治療です。高精度な治療が必要なため,プラスチック製の固定具で頭部を固定し,毎回の治療直前に治療室内のCTにて治療部位を確認し位置の微調整を行います。1回の治療時間は30分程度です。治療回数は3~5回です。

病変部を中心に治療装置の向きを
変えつつ多数の方向から照射します。

プラスチック製の固定具

(3)効果と副作用

治療効果は高くほとんどの場合は腫瘍が消失するかまたは増大しなくなります。副作用は,照射範囲が狭いためにほとんど何もないことが多いです。病変が表面に近い場合は部分的な脱毛が生じることがあります。

(4)ガンマナイフとの違い

固定具がプラスチック製で負担が軽いこと。治療を分割して行うため脳への悪影響が少ないこと。通院でも治療が可能なことなど。(ガンマナイフは金属性の固定具を頭蓋骨に固定し,治療回数は1回で終了)

(5)治療例

治療前(5mmの脳転移を認めます)

治療後(腫瘍は消失)

外来診療時間

午前8時30分~午後5時15分

※初診の方はかかりつけ医の
 紹介状を持参してください。
※予約の無い方の受付時間
 午前8時30分~午前11時
(予約のある方の後での診療に
 なります)
※診療科によっては受診できない
 場合があります。
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休診日
土曜,日曜,祝日,年末年始
(12月29日から1月3日)
面会時間
11時~13時まで(平日)
15時~20時まで(平日)
11時~20時まで(土・日・祝日)

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